第4話 陸上とらふぐ養殖について
2014.6.24 カテゴリー:とらふぐのあれこれ, ふぐの歴史について
陸上とらふぐ養殖は、大きく分けて3種類あります。
①主として1995年頃から中国で発展した素掘り池での養殖です。養殖密度は少なく、換水量も少なく、いわゆる放的な養殖方法と言えます。日本でも海老の養殖池を用いて行われていますが経営体は少数です。
②日本のとらふぐ陸上養殖の主流となっているのが掛け流し式養殖です。ポンプを使って汲み上げた海水を養殖タンクごとに必要なだけ給水する方法です。天草海産もこの方式を採用しています。海面イケスや素掘りの池と違って、この養殖方式では屋内のタンクで養殖していて、とらふぐの状態を常時観察できるため、最適な飼育管理ができることが最大の特徴となります。ヒラメもこの方式で養殖されていますが、とらふぐはヒラメより活発に泳ぎますから水中の酸素消費量も多くなります。そのために液化酸素タンクを設置して、水槽ごとに水中の酸素濃度が管理できるようにしています。また、停電などに備えて非常用の発電機も備えています。一部の養殖場では稚魚の時期の成長を促進するために海水を温めています。このとき加温された排水の熱エネルギーは熱交換器で回収されて再利用されます。
③次に紹介するのが新しい試みとして、陸上養殖方法である閉鎖循環ろ過方式です。海水がない海岸から遠く離れた山間部でも養殖でき、海水を循環して使用するので熱エネルギーロスが少なく、外部からの病気の侵入の危険性も少なくなります。しかしながら、養殖場の新規設備費用が高いことや、人工海水の元も高価なことなどもあり、まだまだ普及するためには時間が掛かりそうです。
最新の陸上養殖として注目を浴びていいるのは、温泉とらふぐです。海が無い栃木県の那珂川町で、「町おこし」の一環として廃校した小学校を利用し、旅館や飲食店を巻き込みメディアにも取り上げられています。詳しくはこちら→http://ganso-onsentorahugu.com/
第4話は、ここまで。第5話をお楽しみに。
天草海産 3代目 〝福の宅配人〟太田雄三