第10話 とらふぐ料理について 入門編-シリーズその②
2014.8.20 カテゴリー:とらふぐのあれこれ, ふぐの歴史について
〝海の宝石〟とらふぐ白子
とらふぐの白子は、雄の2年魚の秋~冬に徐々に成熟します。白子は、2本の精巣の上部がひっついた状態になっています。未成熟期は、小指ほどの大きさでコリコリとして固く、成熟した白子は、表面、断面共に白色で、ヨーグルト状です。昨年、天草海産のとらふぐの白子で1番大きかったのは、1匹あたり550gでした。奇麗な白子は、全国の市場からも好評で、特に1月~2月にかけて、注文が殺到しました。
ところで、とらふぐの白子を中国では何と呼ばれているかご存知ですか?
中国四大美人とは楊貴妃(ようきひ)、王昭君(おうしょうくん)、西施(せいし)、貂嬋(ちょうせん)の4人ですが、白子の美味しさを、西施の乳に例えられて、西施乳と呼ばれました。
【美味しい召し上がり方】白子鍋
鍋のお供にお玉などで形が崩れないように丁寧に鍋に入れます。5分ほど火を通し、ポン酢でお召し上がりください。
焼き白子
ホイルに白子を乗せ、オーブントースターで軽く焦げ目がつくまで焼てください。ポン酢やお塩でお召し上がりください。
白子天ぷら
十分に水分をふきとり、適量の片栗粉、天ぷら粉を付けて、170~180℃で揚げてください。ポン酢や塩でお召し上がりください。
〝コラーゲンとらふぐ皮〟
とらふぐの皮は3層構造になっており、外側からシャミ皮、本皮、とうとう身の順番です。本皮ととうとう身は、包丁でこさげば簡単に剥がれますが、シャミ皮と本皮も処理は皮引きと呼ばれ、皮から棘(とげ)を取り除く作業です。この皮引きの作業は、見た目以上に難しく、匠の技と時間を要します。ですから、天草海産の加工場には、シャミ皮と本皮を取り除く、皮すき機を導入し、繁忙期に皮すき機が大活躍しています。
皮の部分に多くのコラーゲンを含み、美容と健康には最適な食品と言えます。コラーゲンは肌に潤いを与え、水晶体や角膜などの、ハリを保っています。常にコラーゲンを補給すれば、老眼などの予防も期待できます。コラーゲンは体を構成する基本的な成分ですが、年をとると体内で合成する力が衰えますので、適度に摂取することにより、それぞれの部位においては常に若々しさを保つことにつながります。
【美味しい召し上がり方】
とらふぐの皮は、湯引きをし、ポン酢と薬味で召し上がるのが通常です。サラダや和え物にしてもコリコリとした食感を楽しむことができます。本皮ととうとう身の2種類の皮の食感が楽しめ、また、酒の肴のも相性抜群なので、やみつきになる方も多いようです。
〝至福の一杯 ひれ酒〟
鰭(ひれ)は、背びれが1枚、胸びれが2枚、臀びれ(しりびれ)が1枚の計4枚あります。鰭を干して、焼いて、熱燗で頂く…。鰭で日本酒を飲むという、粋な発想に驚かせられます。鰭を焼くことにより生臭みが無くなり、至福の一杯を味わう事が出来ます。火を付けてアルコールを飛ばし、まろやかさを味わうのも良し、火を付けず、酒に溶け出す鰭の旨みを味わうのも良いでしょう。飲み比べると、ひれ酒の奥深さを堪能できると思います。
【美味しい召し上がり方】
熱燗のお酒(70~75℃)に「焼きひれ」を入れ、蓋をし、約2分ほどそのままにして置きます。直接電子レンジで熱燗にする時は、約1分加熱して下さい。レンジにかけすぎますと溢れますのでご注意ください。蓋を少しずつ取りながら火をつけると、アルコールが飛び、より美味しい〝ひれ酒〟としてお召し上がれます。焼きひれは、一合のお酒に1~2枚が最適です。
第10話は、ここまで。第11話をお楽しみに。
天草海産 3代目 〝福の宅配人〟太田雄三